「ところでさ、旅行って誰と行ったの?」
「弘希。」
「……………だけ?」
「逆に他に誰がいるんだよ。」
「弘希のお母さんとか。」
「あ、あの香水なら
弘希が母親に買ったやつをこぼしただけだからな?」
「いや、別にそこ弁解しなくていいけど。
しかもお土産こぼしちゃうとかどんだけばかなの。」
「まぁ弘希だしな。」
それは若干かわいそうだけど。
弘希はそんなにおっちょこちょいなのか。
「元奥さんはなんで行かなかったの?」
「普通離婚した夫婦は旅行いかないだろ。」
「まぁそうだけど…」
でも仲悪くないみたいだし
全然会ってないみたいだし……
「それにあいつは仕事もあるしな。
そういうことは美鈴が気にすることじゃねーよ。」
この人はあんまり自分のことを話さないから
一緒にいても心の奥までは全くわからない。
表面しかわからない。
それがたまに嫌になる。
「散歩でもいくかー。」
「……………え?」
「体動かさないと寝れないだろ。」
あ、さっき寝ちゃったから……
「じゃあ着替えてくる。」
こんなぺらぺらじゃ外出られないしね。


