まぁでも確かに父さんがアイスを買うって意外だな。
ガキの頃は菓子とかアイスとか
体に悪いものは食うなってよく言われてたっけ。
「弘希はなんでサッカー始めたの?
モテそうだから?」
「んなわけねーだろ。
アホか。」
「だよね。
じゃあなんで?」
「俺が7歳のときだったかな。
初めて父さんと会ったんだよ。
そんとき父さんがサッカーボールを買ってくれて
その時ずっと大事にするって約束したから。
それからよく俺とサッカーの相手してくれて
まぁそれでサッカーが好きで。」
「うわー、普通の親子だね。」
「ガキの頃からいるからな。
最初は近所のお兄さんって勘違いしてたけど。」
「でもいいね。
いいな~、憧れる。」
「お前にもいるだろ。
育ての親。」
「まぁね。
でも私はそういうのないから。
ママは私のママだけど
ママはみんなのママでもあるから
私だけにそういうのってなかったし。
お姉ちゃんとかもたくさんいたけど
みんなのお姉ちゃんだから独占とかできなかったし。
だから弘希みたいな一人っ子って
ちょっと憧れなんだよね。
私もお母さんと料理とかしてみたかった。」
そういう美鈴の目はすげー悲しげで
「……………悪い。」
謝らずにはいられなかった。


