「なんで本気を出さないの?」
「本気?そんなのとっくに出してたけど。」
これは私の本気だ。
事務所の力を借りず、全てを自分で作った結果。
まだまだ私が未熟だとわかったんだ。
「ふざけないでよ!!」
それは、今まで聞いたこともない声で
夏音が叫んだんだ。
「こっちは本当に本気で……」
「私だって本気だってば。
これが私の実力。
わかったでしょ?
私は確かに贔屓されているのかもしれない。」
「……………美鈴ちゃん?」
私の言葉に佐藤さんが反応した。
「だけど、贔屓にされてるのは
夏音だって一緒だから。」
「……………は?」
「っていうか、それの何がいけないの?
好きなら贔屓してしまって当然じゃん。
全てが平等にできるとでも思ってたの?
平等なんて考えがないから
ライバル意識ってもんができるんでしょ?
夏音のファンは夏音を贔屓したりしないの?
平等にメンバー全員を好きでいるの?
そんなわけないでしょ?
あんたが好きなファンはあんたを強く応援して
あんたのグッズを買ってるんでしょ?
それに、今回あんたらがデビューするのに
誰よりも力を入れてくれたのはこの会社じゃないの?
それが私の時とどう違うわけ?」
贔屓なんて言葉を使うから悪いんだ。
私たちは私たちを応援してくれる人たちのために
精いっぱい努力をする、ただそれだけでいい。


