カランカラン……
「腹減ったー!」
今月に入り、マスターがまた
毎日のように店を開けてくれるから
遅くに仕事が終わる俺にはすげー助かる。
「いらっしゃい。
なにする?」
「ハンバーグで。
って、貴也もいんじゃん。
ちょい久々だな?」
「よ。」
「お前もここまで出てくるようになったんだな。
あんな脱け殻だったお前がな。」
「うるせーよ。」
「美鈴のライブには行ったか?
一昨日ツアー初日で俺行ったんだけど。」
「いや、行ってない。」
「なんだ。行かねーの?」
「チケットねーし。
金もないし。」
「チケットは長曽我部さんに言えばくれるだろ。
金がないなら働けよ。
美鈴待ってんじゃん。」
「今はやる気にならねーな。
つーかなんで俺役者なんだろって。」
「はぁ?」
「別に俺がやりたくてやってたわけじゃねーし。」
「じゃあなにすんの?」
「さぁ?」
「貴也の生きる道はここしかねーだろ。」
「まだわかんねーだろ。
決めつけてんな。」