「ところでさ。」
「ん?」
たっつんが今度は静かにこちらに顔を向けた。
「その仕事モードな美鈴ちゃんは
この店出るまで続けんの?」
「もちろん。」
「大変だな…」
「もう慣れたよ。」
嘘をつくことに
最近はもう抵抗を感じない。
平気で自分を演じている。
こういう女、嫌いだったくせにね。
「お待たせしました~!」
あー、きたきた。
お腹すいたぁ。
「美味しそー。」
つけ麺か。久しぶりだ。
「あの……サインいただけますか?」
あ、やっぱりバレてた。
「いいですよ。」
私は、笑顔で
渡された色紙にサインを書いた。
「ありがとうございます!!」
「どういたしまして。」
「ご、ごゆっくりどうぞー!」
あんなサイン1つで喜んでもらえるなら
私も喜んで書いちゃうよ。


