その後すぐ会場入り。
入待ちの子達は本当に
この車に私が乗っているとわかっていて
たくさん声援を送ってくれる。
「どうして私がここにいるとわかるの?」
「だって異常なくらい濃いからね、スモークが。」
「あ、なるほど。」
そういうことか。
「しかも俺がマネージャーしてるって知ってるだろうし
長曽我部さんも知られてるし
まぁそういうのでたぶんね。
初めてのツアーで、初日で入待ちなんて
たぶんあの子達相当ライブ慣れしてるよ。」
「なるほどねぇ…」
そんな話をしつつ、
私は普通に車から降りようとしたけど……
「ここで降りたらまる見えじゃない?
あそこから。」
「嫌なら壁になるもの持ってくるけど
事務所的には見られても問題なしだよ。」
「そっか。
じゃあ降りる。」
「俺そっちいくね。」
佐藤さんが先に降り、
私は佐藤さんが来てくれたのを見計らい
ドアを開けて外へ出る。
だからもちろん入待ちの子たちにも
私の姿は丸見えなわけで、
たくさんの声援を送ってくれるから
私はサングラスをかけたまま
手を振って中へ入った。


