居場所をください。




「ねぇ、美鈴ちゃん。」


「……美鈴ちゃん?」


あまりにも聞きなれない呼び名で夏音がいうから

私は違和感しかなかった。


「あ…美鈴。

私たち夏にデビュー予定だったけど早まったの。

5月1日、美鈴の次のシングル発売日。

私たちもその日にデビューシングルを出す。」


「…そうなんだ。」


「勝負しよ。」


「勝負?」


「発売して翌週のオリコン

どっちの方が上か。」


「勝負してなんの意味があるの?」


「私が勝ったらさ、美鈴消えてよ。」


「え…?」


「歌手やめて一高にもどって。」


「……………なにそれ。」


「美鈴が勝ったら私が消える。」


「そんなの社長が「認めたよ。」


また私の言葉を永田さんが遮った。


「社長は認めた。

夏音が負けたら俺も手を引く。

もともと辞めるつもりだったし。」


「ちょ、待っ「受けてたとうじゃん。」


え……


「長曽我部さん…」


「社長から聞いた。

いいじゃん、やれば。

美鈴なら余裕だよ。」


いや、そういう意味じゃ…


「じゃあ決まり。

こっちは夏音が作詞するから。

っていうかもうすぐレコーディングだし。」


「へー、すげーな。

こっちはまだ歌詞すらできてねーよ。

すでに負けてるわ。

それじゃ、美鈴に歌詞書かせねーとだし

美鈴は帰すから。


行こう、美鈴。」