居場所をください。




「でも夏音とか岳とか亜樹とかいるだろ。

大谷隼也だって。」


「夏音はさ、好きだし大事な友達だけど

弱音って吐けないんだよね。

こっちがしっかりしなきゃって。

亜樹はよくわかんない。

岳人もそうだけど、どこかまだ作ってる自分がいる。

隼也なんてそもそも全然会わないし。

でもまぁ友達の中なら隼也が一番

喜怒哀楽を出しやすいのかも。

でも楽なのはやっぱり高橋。

無理しなくていい。楽。」


「美鈴の保護者は?

名前難しい人。」


「長曽我部さん。

いい加減覚えなよ。」


「長いんだよ。」


「長曽我部さんはダントツで一番。

落ち着くし、心の底から笑えるし

愚痴も弱音も吐けるし、素直でいられる。

だけどダントツで捨てられたくないって思うから

結局頑張ってる自分もいる。

長曽我部さんにだけは絶対捨てられたくない。

ずっとそばにいてほしい人。」


「ふーん。」


「高橋はね、なにがあっても

私を見捨てないでいてくれるような

そんな安心感がある。だから楽。」


「長、曽我部?さんって人とは違うわけ?」


「ちょっと違うよ。

長曽我部さんはやっぱり仕事の人だから。

ちゃんとやらないと、捨てられそうで怖い。

高橋にはそれがないから。」


「いつまでも怖がってんなよ。」