「で、どこの焼肉屋?
前行ったところはなしで。」
「他どこにあるかわかんないからお任せ~。」
「自分から誘っといてそれかよ。
ま、いいけど。
ちゃんとついてこいよ?」
「うん。」
私は深く帽子をかぶり、
下を向いたまま高橋の靴を追いかけた。
「ここ。」
「ここ?」
「そ。そこまで高くないしな。」
「まぁどこでもいいけどね。
入ろ。」
私たちはお店の中に入ると
そこそこ混んではいたけど待つことはなく
すんなり入れた上に準個室でまぁまぁな席だった。
「ところでさ。」
「なに?」
「その髪色、私の真似?」
「それ、颯太にも言われた。」
「違うの?」
「別に美鈴の真似じゃねーけど
まぁ流行ってるし、ノリで。」
「やっぱ私の真似じゃん。」
「まぁ原点辿ればそうだけど
細かいことは気にすんな。
それよりなに食べるんだよ。」
「ハラミ。」


