……………誰。
私じゃないか。
会社を出てすぐ話しかけられたと思い込んだ私は
また歩き出した。
「おい。」
かと思ったら今度は腕を掴まれた。
「……なんですか?
ここ、立ち入り禁止ですよ。」
どうみてもこれは男子高校生。
制服着てるし。
「許可証ならある。」
「なら中に入ったらいいじゃないですか。」
誰、こんなとこに一般人放置した人は。
「いないらしい。」
「はい?誰が?
っていうかなんで私なんですか?
……………もしかしてファン?」
「んなわけあるか。
誰がお前なんか好きになるかよ。」
ですよね。
そんな気がしたよ、うん。
だって「おい」なんて話しかけてくる人
あんまりいないもん。


