居場所をください。




結局部屋の前まで来た亜樹。


「あのー…じゃあご飯でも食べてく?

作るし。」


「じゃあ食ってく。

腹へったし。」


「じゃあどうぞ。」


結局また部屋にあげる。

ま、いいけど。


「夕飯、なんなの?」


「んー?

なにがいいかなー。」


私はとりあえず冷蔵庫を開けた。


「あ、そうだ。

生姜焼きあったんだ。

嫌いじゃない?」


「あぁ。」


「じゃあ待ってて。

テレビでも見ててよ。」


私はスープでも作ろ。


「走りすぎたってどんくらい走ったわけ?」


亜樹はソファに座って、背を向けたまま聞いた。


「んー、25キロくらい。」


「は?そんなに?」


「うん。

今日は走りたかったの。

まぁ泳ぎもしたけど。」


「女が走る距離じゃねーだろ。」


「長曽我部さんにも言われた。

でもマラソン選手はもっと走るじゃん。」


「アスリートかよ。」


「はは、長曽我部さんにも言われた。

さすがいとこだねー。」


「誰でもそう思うわ。」