私たちは藍子のおごりでカラオケを出た。
「じゃ、私あっちだし。
またねー。」
「亜樹、送ってかねーの?」
岳人が言った。
「タクシー拾うんだと。」
「タクシー拾うまでになにかあるかもしれねーし。」
「タクシーの運転手がなにかするかもだし。」
「タクシー降りてからなにかあるかもだし。」
「エレベーターで襲う人もいたりして。」
「……………みんなして心配しすぎでしょ。」
「だから亜樹、送ってけよ。」
「岳人、人任せじゃなくて
自分が送ってくって選択肢はないわけ?」
「俺は藍子送ってくし。
腹へったし。」
「あ、そ。
じゃーね。」
「ほら、亜樹も行けよ。」
「はいはい。」
亜樹は岳人に言われて
私についてきた。


