居場所をください。




「藍子、興味あんの?」


「ううん、私じゃなくて友達。

スカウトかれたんだって~。」


「へぇ、どこに?」


「どこだっけかな。

でも契約に20万かかるからって

心配してる。」


「まぁ実際そのくらいかかるところもあるよ。

私の事務所でも、スカウトとオーディション以外に

スクール生として入ってくる人は

そのくらい契約金かかるし。」


「そうなの?」


「まぁねー。

スクール生だし。」


「あ、後藤なんとかだ!」


「後藤プロ?」


「そこかな?たぶん。」


「ならやめといた方がいいよ。

あそこ、真っ黒だから。

朔也の元カノもそこだけど

体張らないと仕事もらえないし、

契約更新の度に20万とられるよ。

絶対やめたほうがいい。」


「そうなの?」


「うん、絶対やめたほうがいい。

まぁ私のところも縁がなかったら

ばっさばさ切られてくけどね。

スクール生は月謝だから切られないけど。

本気で芸能界目指すなら大手のオーディションが

安心だと思うけどな。」


「へー、ならそう言っとく。」


「うん。

それにそんな華やかな世界でもないし。

本気じゃないならやめたほうがいい。」


偽ってばっかりだもん。