居場所をください。




そのあと颯太も歌ったけど

言うほど下手でもないし

普通に上手だった。


「やっと美鈴ちゃん!!」


「発声してないしいつもより下手だよ。」


私は颯太にそう言ってから

歌い始めた。


でもここにいるメンバーは

藍子以外は私の歌を聴いたことがあるし

別にあんまり緊張もしないや。


「やべー、感動。」


隣でなんかいってるけど

アップテンポのこの曲では

答えてる暇はない。


「はぁ、終わった。」


「ちょっと。

余計に歌いにくくなった。」


颯太とは反対側の隣でなにかいっている。


「藍子もうまいって。

大丈夫大丈夫。」


それから私は歌うのをやめて

颯太とはなしたりみんなの歌を聴いていた。


そしてあっという間に三時間。



「美鈴ちゃんご飯行く?」


部屋を出る前に颯太が聞いてきた。


「んー、どうしよ。」


昼にハヤシライス食べちゃったしなー。


「………帰る!」


「えー!」


「明日早いんだ~。ごめんね。」


「ねぇ、美鈴。」


「ん?」


「芸能人って儲かる?」


「んー、どうかな。

売れれば儲かるけど

それまでにはお金かかるよ。

売れないと赤字。

レッスンとかも受けなきゃだけど

それも高いし。

契約でお金かかるところもあるし

私はファッション誌も出てるから

服も買わなきゃいけないし、

お金はかかるよ。」


「へぇ、そうなんだ。

美鈴、よくお金あったね。」


「私は事務所が負担してくれてるから。

レッスン代払ってないし

服とかは買ってるけど、それほどお金かけてないかも。」


なんせ長曽我部さんと社長が

いろいろ払ってくれるから。