居場所をください。




「おじゃましまーす!」


その時、玄関から聞こえた大きな声。


「あ、颯太の声。

私出てくる。」


私は立ち上がって玄関へ向かった。


「颯太、いらっしゃい。」


「美鈴ちゃん!

美鈴ちゃんいるって聞いてダッシュできたし!」


「颯太が一番だよ。

中行こ。」


私は颯太とリビングへ戻った。


「よう、颯太。」


「あ、亜樹!なに美鈴ちゃんの隣座ってんだよ!」


「いや、俺の方が先に座ってんだけど。」


「颯太も座りなよ。」


私がそういうと、ソファに座る私の前に座る颯太。

だから私はソファを降りた。


「ね、これお土産。颯太に。」


「え、俺!?俺だけ!?」


「うん、颯太だけ。

颯太はいろいろくれたし、お返しかな。」


「まじか!めっちゃ嬉しい!!」


「といっても趣味とかよくわかんなくて

なんか体験で出来た写真たてだけど。」


旅館のすぐ近くにあった

貝殻などをつけた写真たて。

500円で手作りできるって看板があったから

私だけやったのだ。


写真たての中には

颯太と一緒に撮った写真も。