居場所をください。




歩いて数分、お母さんが眠るお寺についた。


亜樹が私のバッグも持ってくれたから

私はお水を汲んでお母さんのお墓へ向かった。


「お母さん、明けましておめでとう。」


お墓の前に来て、お母さんに話しかける。


「年末に来れなくてごめんね。」


でも、社長が来たかな。

誘われたけど……仕事でいけなかったんだ。


私、ちゃんと歌手やってるよ。

毎日音楽と向き合ってるよ。

キレイかどうかわからないけど

毎日楽しんでるよ。



「あ、お花。」


私は亜樹から花を受け取り、供えた。


「えーと、お線香。」


今度はバッグから持ってきた線香を取りだし、

さっきコンビニで買ったライターで火を付けた。


「お前もライターなんか使うんだな。」


「普段は使わないよ。」


私は線香を置いて、手を合わせる。