居場所をください。




「なんつーかさ、貴也も母親が亡くなったら一人じゃん。

その隙間埋められるのって美鈴だけな気がするんだよな。

実際一人になったやつじゃなきゃ、

一人になったやつの気持ちはわからないから。」


「……………でも、私は一人じゃないから。

実際社長と長曽我部さんがいるわけだし、

亜樹だって……」


「でも、孤独は知ってるだろ。

孤独なんてな、普通に生きてりゃ

本当の孤独はなかなか味わえない。

俺らが励ましても薄っぺらい言葉にしかならない。

だから貴也には美鈴がいてもらわなきゃ困るんだよ。」


「彼女として?」


「彼女として。」


「……………そっか。

ねぇ……貴也、元気?」


「美鈴が貴也のこと聞いてくるなんて

珍しいな。」


「やっと受け入れられるようになったの。

私は信じて待てるから。」


「貴也は元気だよ。

いっつも美鈴の歌聴いてる。

隼也とか佐藤に聞いてもそういうと思う。

貴也は美鈴の歌を聴いて頑張ってるってな。」


「ほんと?」


「ほんと。

だから美鈴もあんな記事に惑わされずに

貴也を信じて待ってろよ。」


「うん!」


よかった……