居場所をください。




「緊張する?」


「うん。でも長曽我部さん見ててくれるし。

佐藤さんもいるしね?」


「俺、ついででしょ。絶対。」


「はは、そんなことないよ。」


ステージ下に行くとセリが降りていて、

そこに椅子が用意されている。

私はそれに座る。


杖を佐藤さんに渡し、

私はマイクを受け取る。


「スタンバイOKです。」


私が座ったのを確認してから

佐藤さんはマイクで長曽我部さんに連絡をする。


昨日のこともあって、ひとつひとつが丁寧なんだ。


佐藤さんの合図で会場は暗くなり、

音楽が流れる。


ステージが明るくなり、

ダンサーたちが踊る音が聞こえて


歌う直前まで私はここで待機。


「美鈴ちゃん、頑張ってね。」


「うん。」


佐藤さんに微笑んで、

私はステージへと出た。


椅子に座ったまま、

眩しいライトに照らされて

私は歌い始める。