「お前は売れたいのか?」
「え!長曽我部さん…なんで?」
「もうすぐリハの時間だから。」
そういわれて時間を確認すると
もうすぐ15時だった。
「で、お前は売れたいのか?」
長曽我部さんは佐藤さんの前に出て
白石さんにもう一度聞いた。
「…当たり前じゃない。
売れたくなくて、その世界に入る人はいるの?」
「じゃあなんで後藤プロなんかを選んだんだ。
まともな芸能事務所なら
入会金なんてとったりしない。」
「でも、そっちの事務所だって
結局レッスン代とってるじゃない。」
「お前は今まで習い事をしたことがないのか?
習い事というものは金を払うものだろ。
この学校でも学費は払ってるだろ。
人に技術を習うのに、金は払って当然だ。
それのなにがおかしい?
だいたい、レッスンを受けるかどうかは自由。
みんな希望してレッスンを受けてるんだ。
嫌なら受けなければいいだけだ。
だいたい、親がいないことを公表したのは
美鈴でも、事務所でもなく
一般市民だ。それで同情を買おうなんて
誰も考えてねーよ。」
白石さんはなにも言わなかった。


