「さてと、そろそろ帰るか。
俺明日も朝から撮影だし。」
「私も朝からレッスンだ~。
しかも演技から。大丈夫かな。」
「知らねーよ。」
「もーほんと冷たいよね。
がんばれよ、とかいってよ。」
「はいはい。」
ったく。
「あれ、お金払うよ。」
「いーよ。お前の280円だし。」
「やすっ!じゃあゴチになりまーす。」
ほんと、なんだかんだ優しい。
ほんとに冷たい人は金額関係なくおごらないしさ。
「おい、帰るぞ。」
「はーい。」
私たちは大通りまで出て
貴也がタクシーを拾った。
「乗れよ、送る。」
「え、いいよ。歩けるし。」
「こんな時間に女が一人で歩いて帰るなよ。
さっさとのれ。」
……………やっぱり優しい。


