居場所をください。




そんなことを言ってると

マンションへついた。


「なんか飲んでく?暑いし。

お茶くらいなら出すけど。」


「あー、上がる。

すげー喉乾いてた。

自販機すらねーのかよ、この道。」


「え、そうなの?知らなかった。

じゃあどーぞ。」


私たちは一緒にマンションへ入った。


「ところで家どっち方面?」


「今日俺んち来といてよく言うよな。」


「タクシーだったからよくわかんないんだもん。

しかも方向音痴だし。

最初の頃はこのマンションに帰るのにも

迷ってたくらいなんだからね。」


「……………呆れて物も言えない。」


「でもタクシーでけっこういくよね?」


「朔也と別れたところらへん。」


「へー、じゃあ結構歩くんだね。

なんかごめんね。」


「……………いや。」



遠いのに送ってくれるなんてね。

やっぱ優しいじゃん。

自覚ないけど。