「ずっと私は一人だと思ってた。
でも私はずっと誰かに愛されてた。
そういうの否定してたらさ
ずーっと一緒にいる岳人とか
悠斗と颯太も朔也も藍子も
今いる私も否定することになるんだからね。
藍子だって、やっとそれに気づけたみたいだし。
だからこれからはそのお礼をする番。
そのために私は一生懸命歌を歌うし
一生懸命子供たちの面倒も見るし
一生懸命遊んで、人を好きになる。
それだけのことだよ。
それに気づけなかった私は
ただのガキだったの。」
「……………じゃあ俺もガキだってことかよ。」
「いいじゃん、ガキで。
だって自分のことだけ考えてられるし。
自分を幸せにできないやつが
他人のために、なんて無理に決まってるもん。
だから、今は自分勝手でいいんじゃない。」
「どっちだよ。」
「はは、矛盾してるか。
ま、何が言いたいのかと言うと
誰かのためになにかするのも悪くないよ、
ってこと。
人を好きになるのもね?」
「……………お前ってうざいんだな。」
「うわー、ひどい。
亜樹も感情なくしたフリなんて
もうやめればいいのに。」
「は?」
「昔の私みたい。」
「俺はお前みたいにはなれないけどな。」
「なんで?」
「すべてがめんどくせーから。」
「ふーん。
たまに優しいのにね。」
「は?俺が?」
「ほんっと自覚ないんだね。」
「うるせーよ。」


