居場所をください。





「俺は、お前らみたいに

誰かのためになにかするやつ

全然理解できないけどな。

藍子のこともそうだけど。

時間の無駄じゃねーの?」


「ふーん、そういう考えか。」


「その時間、自分のために使えばいいのに。

人を喜ばせるとかくだらねぇ。

お前が藍子のとこに来たのだって

お前が来たくて来たわけじゃねーだろ。

時間の無駄だとか思わねーの?忙しいのに。」


「亜樹は愛とかだるい派だね。

ださいっていうか。」


「俺が愛とか鳥肌。

きもいだろ、俺が愛とか言ってたら。」


「ふふ、でもさぁ

亜樹は岳人の愛に救われたんじゃないの?」


「は?」


「小さい頃、親が帰ってくるまで

一緒にいてくれたのは岳人でしょ?」


「だから?」


「それだって立派な人を思いやる心だよ。

人間一人じゃ生きていけないとか言うけど

本当にそう思う。

誰かに支えられて、誰かを支えて。

私なんかさ、誰にも関わりたくなくて

逃げてばっかだったのに

結局私を助けたのも愛だったんだよ。

お父さんとお母さんが愛し合って

お母さんが私を愛していたがために私を預けて

私はママに愛されて、そんなママに甘えて

長曽我部さんに拾われて愛されて、

お父さんに愛されて、

結局みんな愛に救われてるんだよ。

亜樹だってね。

今私を送ってくれてるのだって私のため。

今日ご飯を作ったのもみんなのため。

宿題を教えてあげてたのもみんなのため。

愛から逃げることなんて、みんなできないんだよ。

どんだけうざがったって。」