居場所をください。




カランカラン…


「いらっしゃい、美鈴ちゃん。」


「あれ、また誠くんかぁ。」


「その明らかなガッカリ感。

傷付くなぁ。」


「ごめんごめん。

でも今日マスターのスープ飲みたかったから。」


「はは、美鈴ちゃん

SNSに書いたでしょ。

さっき父さんが持ってきたよ。」


そういって誠くんはスープボトルを取り出した。

それを見て私はカウンターに座る。

亜樹ももちろん私のとなりに。


「うっそー…感動なんだけど!

本当にひさしぶり!」


すっごい嬉しい。

そういえばフォローしてくれてるんだっけ。


はは、まさか見られてたとは。


「それ、そんなうまいわけ?」


亜樹が聞いてきた。


「すっごいおいしい!

ここのは全部おいしいけどね。

誠くんのは知らないけど。」


「俺のもうまいし!」


「へぇ、じゃあ今度なんか食べるね。

今日はこれだけだけど。」


「俺にも一口ちょうだい。」


亜樹が言った。


「うん、いーよ。

私のあとね。」


私は早速スープボトルを開けた。


「あ、それサービスだってさ。

金取るなって言われた。」


「へぇ、気前いいね。

……………お客さん入ってないのに。」


「一言余計だな。」


「はは、ごめんね。」