居場所をください。




「あ、待って。

先にタクシー呼ばないとだ。」


この暑い中、外で待ちたくない。


「……………なんだよ。」


「ごめんごめん。

ま、ソファ座っててよ。」


またソファに座り直す亜樹。

私は電話でタクシーを呼ぶ。


「あと15分くらいだって。」


「おっそ。」


「混んでるんじゃない?

まぁ歩くより早いよ。」


そういって私もソファに座るけど……………


「…やっぱ変。」


「は?なにが?」


「そこ、いつも貴也がいたから

なんか変な感じ。」


「悪かったな、彼氏じゃなくて。」


「まぁ仕方ないけどさ。

でも、貴也がいなくなってから

この部屋に誰かあげたの初めてだけど

やっぱ誰かいるだけで安心するね。」


「そうか?」


「あの施設もすっごい嫌だったけど

藍子と和也がいるあの施設がすっごい嫌だったけど

それでも栞奈みたいな子とか

小さい子達もママもいたしさ

あそこ出たあとは長曽我部さんちに

しばらく居候してたし

ここ引っ越してきてわりとすぐ貴也と部屋で会って

まぁ貴也に彼女いたときは会ってなかったけど

なんていうか、こんな一人の期間って

私なかったから。

一人暮らしの孤独感が半端ない。」


「ふーん、なるほどな。」