居場所をください。




えーと、化粧品はここらへん使ってないし

全部いっか。

まぁなくても困らないし。

仕事では佐々木さんがしてくれるしね。


服はー………………


うん、まぁ適当でいっか。

ここらへん着ないよね。


……………貴也のルームウェア…。

奥にしまったままだったな…。


貴也の枕も貴也の靴下も

貴也の下着も……………



私は気分が落ちるから

さっさと服を詰めた。


「ごめん、お待たせ。」


「いや。」


亜樹はいつも貴也の座っていた位置に座り

テレビを見ていた。


「そんだけ?」


「ううん。

まだこっちも~。」


「……………そんなにかよ。」


「やっぱ亜樹に来てもらってよかった。」


「つーか彼氏以外の男が部屋に来て

変な噂になったらどうするわけ?」


「うーん、でも大丈夫じゃない?

貴也だって付き合う前から来てたし

長曽我部さんなんて合鍵持ってるから

私がまだ寝てるときでも勝手に入ってくるよ。」


「……………いいわけ?男じゃん。」


「別に全然平気。

前なんて一緒に住んでたし。」


「は?まじで?」


「まじです。

そういえば亜樹と長曽我部さんって

ちょっと似てるとこあるよね。


さてと、行こっか。」


私がそういうと

荷物をすべて持つ亜樹。


「私も持つよ?」


「俺はこのために来たんだろ。

さっさと行くぞ。」


やっぱ優しいねぇ。

紳士ですねぇ。