「美鈴。」
ん?
「貴也か。なにしてんの?」
「俺もレッスン。」
「まぁそれしかないか。
お疲れさま。」
「一人かよ。」
「うん。」
「元気ねーな。」
「疲れと空腹。」
「飯食ってくか?」
「どこで?」
「どっか。」
「どっかって。
16歳の私たちが入れるとこないじゃん。」
「確かに。」
そう言いながら歩き続ける貴也。
「ま、ここなら入れるだろ。」
なんだ、この前の喫茶店…。
「いらっしゃい。」
おお、本当に入れてくれた。
「んー、疲れたぁ。」
「なに食うんだよ。」
「カロリー低いやつ。」
「はぁ?」
「あ、野菜スープにする。」
「俺ハヤシライスで。」
「いいなー。」
「食えば良いだろ。」
「長曽我部さんに体重管理されてるもん。」
「でも動いてるだろ。
知り合った頃より引き締まってるし。」
「ほんと筋肉がすごいよ。
特にお腹ね。水木先生鬼だから。」
「なら少しくらい食っても良いだろ。」
「って油断したら怒られた。
細くないと女の子から支持されないって。」
「ターゲット女なわけ?」
「んー、特に決まってないけど
男ばかりだと私も嫌だし、
アイドルと変わんないでしょ。
女性から支持されると時代が作れるからって。」
「時代ねぇ。」


