「はい、最後。」
新人の私はゲスト全員の楽屋も回る。
まぁその方が印象いいからね。
コンコン……………
「失礼します。」
「五十嵐みす「美鈴ちゃーん!」
……………ん?
頭を下げようとした私は
目線を上へ戻した。
「あ、愛翔くん。
そっか、歌手だもんね。」
いつも撮影現場でしか会わないから
アイドルだと言うことを忘れそう。
「そういえば撮影は?」
「俺は夕方まで。
そのあとは俺の出番ないとこ撮ってるけど
貴也がSステ見る気満々で
すげーペースで撮ってたし
もう終わってんじゃね?」
「え、貴也が見るの?」
「美鈴ちゃんへの愛がすごいからなー!」
……………恥ずかしい。
「愛翔は本当に五十嵐さんと仲いいんだな。」
「なんだよ、怜太。
疑ってたわけ?」
……………忘れてた。
挨拶にきたんだ。
「今日はよろしくお願いします。」
私は頭を下げた。


