居場所をください。




「ここか…。」


ここにお母さんが眠ってるのか…。


「場所わかる?」


「うん。紙に書いてあるから。」


私は書いてある場所に向かった。

そこには"五十嵐家之墓"。



……………お母さん。


私は買ってきたお花と線香を供えて

手を合わせた。



『お母さん。

美鈴、ここまで大きくなりました。

17歳、やっとここに来れたよ。

お父さんにもお兄さんにも会えた。

ちゃんと迎えに来てくれた。

私は二人の愛に救われた。

そして、ここにいる彼氏にも。

だから安心して眠ってね。

誕生日、おめでとう。

これからも毎年お祝いに来るね。

お母さんがこの世に生まれた日を

私はずっと祝いに来るよ。』



よしっ。



「帰ろっか。」


「そうだな。」


私は貴也の手を握り、歩き出した。

やっと前に進めた気がするよ。