居場所をください。




母さんの言ってることがぐさぐさ俺に刺さった。

俺は今まで全然母さんと会えてなかった気がする。

父さんの最期だって、結局仕事でいけなかった。

いつもいつも仕事優先だった。


会いたいときに会えればいい、な。

俺はそれすらできてなかったから

母さんは美鈴に言ったんだろうな。


「あ、ごめんなさい。

私、仕事行かなきゃ…。


すみません、また今度ゆっくり。」


「うん、また今度ね。

お仕事頑張ってね!」


「あ、写真いいですか?

3人で!」


「うん、もちろん!」


美鈴の朝の恒例行事

写真撮影をしてから

美鈴はバタバタ仕事へ行った。



「貴也はもっと自分の好きなようにしていいんだからね。」


「は?」


「これからのこと。

母さんの勝手で芸能界いれたんだから。」


「俺はいつも好きに生きてるよ。

これからのことも、俺が決めていく。」


「それで満足なの?」


「当たり前。

母さんも支度しろよ。」


「はいはい。」