居場所をください。




「じゃあ誰?」


「私の兄です。」


「お兄さん?」


「最初は兄だって知らなかったんですけどね。

でも私のためにいつもなんでもしてくれて

優しいんですけどすっごく厳しくて

なんとなく、この人がいれば大丈夫って

そう思えるくらい信頼してて

その人に呆れられたくなくて見捨てられたくなくて

その人に喜んでもらいたくて

それで料理を覚えたんです。


本当に鬼みたいな人ですけどね。」


「へぇ…素敵な家族なんだね。」


家族…か。


「家族意識ないですけどね。」


そういって笑う美鈴。


「父にはここまで思わないのに

兄にはすごい感謝してると言うか

絶対に離れたくなくて

私、ブラコンなんですかね?」