居場所をください。




「この指輪、やっぱり美鈴ちゃんにあげたい!」


「ふぅん。」


「だから、美鈴ちゃんと結婚しなさいよ!」


「はぁ?」


「私の今の夢!」


「夢って…。」


母さん自分の体わかってんのかよ…。


「あと1年だしね。」


「なにが?」


「貴也が結婚できるようになるまで。」


「は?いやいや

そんなはやくできねーだろ。」


「なんで?」


「美鈴の父親、俺のとこの社長だし。」


「へぇ、でも関係ないわよ。

子供を捨てた親に

子供の事をどうこう言える資格はないわ。」


「いや、でもなぁ…。」


どんだけ気が早いんだよ…。


「貴也は美鈴ちゃんと結婚したくないの!?」


「そういうわけじゃねーけど…。」


でも美鈴がこれからってときに

結婚なんてできるわけねーだろ…。


「……………子供もここまで大きくなるとね

親の楽しみって減っちゃうもんなのよ。


それに、もう限られた時間しか

私には残っていないしね。」


……………母さん…。


「だから!結婚よ、結婚!」


「だから気がはえーっつーの!」


ったく…。