****



「竜ノ神、出て来なかったな…。

……カンパニーの奴らが暴れれば出てくるかもと思ってたけど。」



事務所に着くなりソファにダイブした遊馬がそう言って目を細めた。



『今日は竜ノ神も乗り気じゃなかったんじゃろう。

次こそは捕らえてみせるぞ!覚悟しておれ竜ノ神!!』



芝狸が、手を握りしめながらそう叫んだ。



……やっぱり、竜ノ神を見つけるってことはすごく難しいことなんだ。



私がこの事務所に入るずっと前から探しても捕まえられなかったんだもんね。


そんな簡単に願いを叶えられるわけじゃないってことか。



「佐伯さん、今日は初めてだったのに、鬼火銃使いこなせてたね。

体はもう大丈夫?」



椅子に座る私に、周くんが覗きこみながらそう尋ねた。



「うん、大丈夫。

いろいろありがとう。」



私が答えると、周くんが少し真剣な顔をして言った。



「疲れが溜まったら、無理せず言ってね。

……これは命をかけてやるようなものじゃないから。」



私は、少し低いトーンで言った周くんに、なんとなく違和感を感じた。


どこか、周くんの纏うオーラが暗くなったような気がして、私は無意識に尋ねる。



「どうして…そんなに体の心配をしてくれるの?

大きな怪我とか、したわけじゃないのに…」