あの水族館の日から、約一週間。

事務所の部屋のテレビには、大盛況のショッピングモールの特集が流れている。


どうやら、周くんが割った水槽はすべて
元に戻り

次の日には、まるで何もなかったかのように営業を始めたらしい。


テレビを見ながら、私の隣でソファに座る
周くんが言った。


「…あの日、水族館で紺に狐の面を被せられた人は、今、どうなっているんだろう。」


その言葉に、芝狸は、腕を組みながら答える。


『ニュースになっている様子もないし、紺が裏でテレビ局や警察に“まやかしの術”でもかけているのかもしれんな。』


ということは、まだ解放されてないってことだよね?


私は、芝狸に尋ねる。


「みんな操り人形にされたままってこと?」


すると、芝狸は眉間にシワを寄せて、落ち込んだ声で言った。


『…じゃろうな。

紺が、わざわざ出向いて面をつけたんじゃ。簡単に解放するはずがない。』


周くんも、芝狸に続けて話す。


「…あれだけ多くの操り人形を作ったんだ。

何か…大きなことを始めるつもりかもしれないね。」