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「おはよ、佐伯さん。」


遥との同居生活が続き
ついにやって来た土曜日。

デートじゃない、って必死に唱えてきたけど

待ち合わせ場所で先に待っていた周くんを見た瞬間

そんな考えは吹き飛んだ。


きゃーっ!


王子だ!目の前に王子がいる!


周くんは、私に向かって、優しく微笑むと、すっ、と寄りかかっていた壁から立った。


「やっぱり、学校と違うとなんか緊張しちゃうね。」


うっ!


眩しい王子スマイルが私の心を撃ち抜いた。


周くんも、緊張してくれてるんだ?


私は、ふぅ、と小さく呼吸をする。


あぁ。


最近、遥に振り回されっぱなしだったから

周くんといる時間が嬉しすぎてしょうがない。

私は、そこで改めて心の中で唱えた。


…今日の仕事は、何が何でも、紺を見つけること。


周くんと会えて、つい浮かれちゃったけど、本来の目的を忘れないようにしなきゃ。


その時、周くんが、私の方を見ながら
口を開いた。


「…佐伯さん、あのさ………」