そもそも“サブさん”などと言われて真っ先にハヤブサ運送のトラックを連想出来たら、そいつはもう普通じゃない。
それに運転手の話をしているのであればまだしも、水無月くんは完全にトラックそのものの話をしている。

動物好きの水無月くんのことだから、また動物の話だろうと思ったのがそもそもの間違いだった。
生きているものだけではない、幽霊だって、トラックだって、水無月くんはこの世界に存在するものはなんだって好きなのだ。

秀才はやっぱりレベルが違う。


「瀬戸さん、さては最初から僕の話を聞いてなかったな」


拗ねた水無月くんがまたしてもガタガタと机を揺らす。
そのガタガタ音がたとえ教室に響き渡っていたとしても、犯人が水無月くんであるとわかっているクラスメイト達は誰一人として見向きもしない。


「話を聞いてなかったお詫びに、今日の放課後は、サブさん捜すのちゃんと付き合ってね!」


不機嫌な表情のままで当然のことのように言ってのける水無月くんに、流れで頷きそうになって思わず待ったをかける。