先生は私の旦那様

碧と別れて家に帰って来ると玄関には直寿の靴があった。



あれ?もう帰って来てるんだ?

今日は早かったな。



買い物をして来た荷物をダイニングテーブルに置く。

食材はいつも八重さんに母屋の買い物と一緒にお願いしているが、夏休みに入ってからは時間もあるので自分で買い物に行っている。

今日は以前、八重さんに教えて貰った商店街の肉屋さんに寄ってハンバーグのパテを買って来た。

ここのハンバーグは粗挽きでとても美味しい。サービスに付けてくれるソースも絶品で直寿も美味しいと言って喜んで食べる。



「ただいま! 直寿?」



リビングに目を向けるとこちらに背を向ける様に置かれたソファーから足が出ている。

ソファーにはネクタイを緩めシャツの第一ボタンを外した直寿が眠って居た。

最近は朝早く出掛けて、帰って来てからも夕飯を食べた後遅くまで書斎で仕事をしている。睡眠時間も3、4時間だと思う。


「疲れてるよね…」


二人掛けのソファーは大きめではあるが背の高い直寿にとって少し窮屈そう。

エアコンがついてるので直寿に大きめなビーチタオルを掛け夕飯の支度に取り掛かる。

オニオンスープにシーザーサラダ、マッシュポテトに人参グラッセ。

ハンバーグのジュージュー焼ける音と良い匂い。



「うーん良い匂いだ。」


コンロの前に立つ私は背中にぬくもりを感じ腰に腕がまわり耳元に感じる吐息。擽ったくて首を縮める。


「起きたの?」


稀美果は振り向き直寿に微笑むとチュッ!と軽いキスをする。


「もう出来るよ!手を洗って来て」