先生は私の旦那様

直寿は掴まれた腕を一度見てから稀美果に視線を向けて「なに?」と聞く?


「私は納得してません! あなたと結婚なんてしませんから! それに一人で帰ります!!」


稀美果は言い終わると鼻息を荒くしドスンドスンと足音を響かせるように2階から1階へ大階段を降りエントランスに向う。


しかし稀美果は後ろから腕を捕まれ「こっち!」と直寿に引きづられる。


「ちょっ…ちょっと放してよ! ひとりで帰るって言ってるじゃない!」


「馬鹿娘の所の車はもう帰ってるよ! おまえ金持ってるのか?」


え?お金など持っていない。だってパーティーでお金など使わないし、両親と一緒だったからお金の必要などないもの……


「………」


「金もないのにどうやって帰るんだ?ヒッチハイクでもするのか? 馬鹿娘!」


「そっそうよヒッチハイクして帰るわよ!」


「ったくお前は…知らない人の車に乗ってはいけません! って習わなかったか? それにその格好で夜の街を彷徨いていたら光石みたいな男に餌食になるだけだ!! 馬鹿娘! 分かったら素直について来い!」


悔しいー!
でも彼の言う通りだ。こんなドレスのまま未成年が彷徨いて不審がられるだけだ。ヒッチハイクと言っても乗せてくれる人が居るかどうか分からないし……
なにより知らない男の人の車など恐くて乗れない。
そうなると彼に送って貰うのが得策だ。