助けてくれた人は背が高くたぶん180cmはあるだろう。
凄いイケメンでスタイリッシュな眼鏡を掛け、眼鏡の奥の瞳はとても綺麗で見つめられたら逃れられなくなってしまいそう。

稀美果は一目惚れしてしまった様でうっとり彼を見ていた。


なんて素敵な人なんだろう……
あっお礼を言わなきゃ!


稀美果は満面の笑顔で

「助けてくれて有難うございました。」


「お前馬鹿か?知らない男にのこのこ付いて行こうとして!!」


つい今しがたまでうっとり彼を見つめていた稀美果は目を見開き我に返る。


お…お前?…
馬鹿?……
なんて失礼な人!!
素敵な人と思ったのは撤回!!!


「…初対面の人にお前とか馬鹿とか言われたくありません!」


「初めてじゃ………」


え?今なんて言ったのかしら?


彼が発した言葉が最後まで聞き取れなかったので聞き返そうとしたその時母の声が聞こえた。


「あらー稀美果もう直寿さんと仲良くなっていたのね?」


ナオトさん?
私達の周りには誰もいないので目の前にいるこの人がナオトなのだろう。


「仲良くなんてなってないわ!ってか、お母様この人のこと知ってるの?」

「えー仲良くなってないの? まぁいいわ。こちら櫻瞳華学園の創立者のお孫さんで黒木直寿(くろきなおと)さん!稀美果の旦那様になる人よ!」とにっこり笑って当然のように言う母。


今…お母様はなんと言ったのかしら?……


頭の中でハテナマークが沢山広がっている。
そんな頭で母の言葉を一字一句思い出す。


「……えっー!!私の旦那様??」