「ねぇ良かったら抜け出さない? さっきからオジサンやオバサンの相手して飽きてたんだよね」と肩を竦めてみせた。

「でも、両親が心配するので…」

「良いじゃん。終わる頃までに戻って来れば大丈夫だよ。ね?」


こんな所でひとりで居るより良いかな?……


「じゃ少しだけ…」

「良かった行こう!」


彼が差し出してくれた手を取り椅子から立ち上がると彼は稀美果の肩に腕を回して来た。


えっ?…


突然肩に回された手に戸惑い彼から離れようとしたその時


「光石の馬鹿息子がまた女の子をお持ち帰りとは懲りないねー」


「なんだよ黒木!邪魔するなよ!!」


「良いのかな?今度問題を起こしたら勘当されるんじゃないの?」


「…まだ…な…何もしてない!」


「へぇ~そうかな」


三石は明らかに動揺しているが黒木という彼は涼しい顔をして更に続ける。


「未成年にアルコール渡して何もしてないって通ると思ってる訳?」


えっ?これアルコールなの?嘘……


稀美果はグラスを目線まで上げ中の液体を確認する。


そう言われたらオレンジジュースと違うような…
飲まなくてよかった……

私は胸を撫で下ろした。


「チッ!こんなガキ俺が相手するわけ無いだろ!!」


彼は悔しそうに捨て台詞を吐きその場を離れて行った。