何を隠そうこの先生は私の愛する旦那様なのであります。
結婚している事は皆んなには内緒にしている。
もぅ直寿少しくらい大目に見てくれても良いのに……


「稀美果、ご愁傷さま」


私の前の席に座る碧は振り返り哀れみの言葉をかけてくれる。
彼女とは2年の時はクラスは違ったが3年になって再び同じクラスになりそして今回も席は前後なのだ。




午前中の授業が終わるチャイムが鳴る。


「ねぇ稀美果、今日は天気も良いし屋上で食べない?」

「うん!良いよ!」


碧とふたり屋上に上がる。うちの学校には屋上に庭園が作ってある。今の時期沢山の花が咲いていて私はこの場所が大好きだ。
私達はベンチにすわりお弁当を広げる。


「稀美果よく続いてるね。毎日自分でお弁当作ってくるなんて凄いよ。感心するわ! 私は料理苦手だからなぁ絶対無理だわ! 朝は少しでも寝ていたいしね」

「私だって最初は大変だったよ、料理だって作ったこと無かったし。だけど何度もやってるうちになんとか出来るようになるし楽しくなるよ!」


家には小さい頃からずっとお手伝いさんが居てくれたから私は今まで一度もキッチンに立った事は無かった。
直寿と結婚して八重さんに教えてもらいながら少しづつ料理も覚えたのだ。


今頃、直寿も私の作ったお弁当を食べている頃だ。


稀美果は直寿が食べてくれてると思うと嬉しくてつい頬が緩んでしまう。


「なによニヤニヤしちゃって!」と碧に言われてしまった。