稀美果は直寿を目だけでチラチラと盗み見ていた。


この人綺麗な食べ方するなぁ…


「ねぇーあんた…じゃなくて、な…なお…とさん…」

「直寿でいいよ。」

「じゃ直寿、仕事は何してるの?」

「教師。今は実家の学園の高等科で世界史を教えてる。」

「へぇー」


稀美果は久し振りに人と話しながら楽しく朝食を食べた。
最近、稀美果の両親達は忙しく一緒に食事を食べる事は無かった。だから直寿との食事が少し楽しかった。
昨夜の『おやすみ。ゆっくり休むんだよ』って優しく頭を撫でてくれた事。そして今日は朝食を用意してくれた事。
直寿の優しさに触れ、稀美果は直寿に対する見方が少し変わった様だった。


食事を済ませると『今日は遅くなるから。夕飯は八重さんに頼んでおくからな。』と言って稀美果の頭をポンと叩くと直寿は先に出かけた。


稀美果は直寿に頭をポンとされた事が嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を赤くしていた。


「さぁ!私も出掛けよう。」