「今のどういう意味?美結の親、同棲認めてくれそうなのか?」


ウキウキしてるよ。
マズい。ついうっかり口滑らせた。


「ま、まさかそんなワケないじゃん!私、一人娘なんだよ〜!」



焦りながら否定する。

実際は25歳にして初めてできた彼氏を、父も母も、ついでに言うならおばあちゃんまでもが喜びまくった。

羽田が「付き合ってます」と宣言しに来た3月初めの夕飯は、何故かお赤飯だったくらいに。


それ以来、仕事仲間と飲んで帰ると勘違いされた。

母からは「彼氏にお持ち帰りされたのかと思ってた〜!」と、平気そうに言われる始末で。



(…マズい!このまま同棲させて下さいなんて羽田が言ったら、きっと大賛成される……)


パートの仕事しか見つけられてない私に、父も母も半ば呆れてた。
こんな事ならさっさと相手を見つけて嫁に行きなさい…と、何度言われてきたことか。


「私、心配してるといけないから家に電話してくる!」


突き放すように羽田から離れて自分のバッグを取りに行った。
取り出したケータイにLINEが流れてきてるのが見えて、アプリを起動させてみたら……



『今夜お泊り?羽田くんに宜しくね!』


イエ〜!と親指立てたクマのスタンプが笑ってる。

ヤバい。完全に勘違いされてる……。




「美結のお母さん、もの分かりいいなぁ〜」


「ぎゃっ!!」


いつの間にか画面覗き込んでるし!全くもってあり得ないっ!!