瞬間、恋をした


  ◇



オレンジ色の空。

そのオレンジ色の優しい光は、教室に差し込んで、外と同じ色に染める。

カチ、カチッというホッチキスの音だけが教室に響く。


……職員室に呼ばれたのは話をされるだけかと思っていた。

だけど俺はいま、授業に使うプリントをホッチキス止めするという、雑用をやらされている。


しかも、長机の向こうに座る高梨さんとふたりで。


高梨さんは、整った顔をなにひとつ変えることなく、プリントをホッチキス止めしていく。



「あの」



職員室からこの応接室に着いてからもずっと、高梨さんとはひとことも会話をしなかった。

だけど俺は、この重い空気に耐えられなくて、口を開いた。


すると彼女の視線は、手元から俺へとゆっくりと移動した。