それから私たちは車にのって、指定されたクラブへと到着した。
「愛希、本当にここか?
やってるようには見えねーけど。」
「たぶん、休みなんだよ。」
「ふーん、なるほどな。
じゃあ入るか。」
「……本当にいいのかよ。父さんまで…」
「あほか。
未成年の後始末は親がやるもんなんだよ。」
「大丈夫だよ。爽ね、これでも恐ろしいほど強いから。」
「いや、もう何年もやってねーからわかんねーよ。
現役とは違うから。」
「それにしては楽しそうな顔してるね?」
「由茉もね。」
「奥さま、こちらを。」
「あぁ、ありがとね。」
「なに、奥さまになったんだ?」
「マンションから屋敷に戻ったらみんな奥さまになるんだって。
だからなれておこうかと思って。
片桐さんはずっと名前で呼んでくれるみたいだけどね。
行こ。」
私は夏川さんからバッグを受け取り、片桐さんも連れてクラブへと入った。


