ピンポーン…


あれ、今エントランスじゃなくて、ここのインターホンが鳴ったよね?

誰だろ。


モニターを確認すると、うちの前には爽が立っていた。


「湊、爽が来たよ。」


「爽?なんで?」


「さぁ?まぁ出てくるね。」


結月が高3、葉月が高1になり、私たちも40代となったのに、まだまだ仲良しな私たちは、定期的に会っていた。


「いらっしゃい。どうしたの?」


「ちょい相談したいことあって。
……湊とか…結月いる?」


「湊はいるけど、結月はまだ如月にいるよ。
葉月はいるけどね。
どうしたの?」


「由茉に相談したいことあるんだ。
できれば、二人で。」


「あぁ、うん。わかった。
まぁ上がってよ。部屋で話そ。」


私はとりあえず爽を部屋に入れて、リビングへ行った。


「なんかね、相談したいことがあるんだって。
だからちょっと部屋で話してくるね。」


「ふーん?まぁそれはいいけど。
こんなおっさんになってまで由茉を頼るなよな。」


「爽は全然おじさんって感じじゃないけどね。
ちょっと待っててね。」


とりあえず湊に報告だけして、お茶をもって部屋へ戻った。


「ごめんね、お待たせ。」


「由茉の部屋って初めて入るわ。」


「あー、そうだね。
ここに来た頃とあんまり変わってないからちょっと若いでしょ。」


「あ、俺が昔あげた写真もしっかり飾ってあんじゃん。」


「当たり前。ちゃんと美波の横にね。
それで、相談ってなに?
結月がいるか聞いたってことは愛希か愛美のことかな」


「あー、うん。愛希。
あいつ最近なんか悩んでるのか荒れてるのか知らねーけど、俺とか愛奈の財布から金抜き取るようになってさ。
最初は小さな額だし、まぁそういう年頃っつーか…俺もわかんなくはないわけで」


「爽もやってたの?そんなこと。」


「由茉にはわかんないかもしれないけど、高校生ってのは金がないもんなんだよ。」


「あっそ。」


「でも、最近は額が増えてきて、1週間のうちに俺から2万もとったんだよ。
俺月3万でがんばってんのに。
さすがにキレて、愛希に言ったら愛希のやつ、今までの金全部返してきて。
まさか全額帰ってくるなんて思ってなくてさ、愛奈の分と合わせて10万近くあったかな。
でも、なんでとったのかとかは全然教えてくれないし、それに抜き取った金って大抵すぐ使っちゃうのに全額とっておいてさ。

とにかく愛希の様子が最近おかしくて…愛美に聞いてもわからないらしいし…」


「で、私に聞いてほしいってこと?」


「まぁそんなとこ」


でも私とかめっちゃ部外者じゃん。
私なんかに話すかな。あの愛希が。