「由茉!」


「由茉ちゃん!」


「………へへ、大丈夫…」


殴られた衝撃で、めまいがひどい。
脳がぐわんぐわんしてる。


「………由茉に…なにしてんだよ!!」


純は最後の最後で、目の前の男を殴り飛ばした。


「やればできるじゃん…」


「由茉!ごめん、俺のせいで…
なんで庇うんだよ…」


「そんなの、純のことが好きだからに決まってるじゃん」


私は湊に支えられながら、体を起こした。


「一輝がよくいってるじゃん。
守るものがある俺は強いって。
私も一緒。純のためなら私だってこのくらい、へっちゃらだよ。

ねぇ純、覚えといて。
人は、一人じゃなにもできないの。
私は美波がいなかったらきっと死んでた。
純は私たちに支えられながら、私たちを支えるために強くなるの。
私たちのために一人で立ち向かえる純は弱くなんかない。
純は強いよ。湊に負けないくらいね。」


「………あぁ。」


「…はは、純泣きそうになってるー」


「う、うるせーよ!」


「純、昨日はありがと。」


「………由茉もな。ありがとう。」


「よし、傷の手当てしにみんなで家に行こう!」


「由茉大丈夫か?立てるか?」


「大丈夫。
湊庇って殴られたときの方が痛かったもん。」


「………ごめんな。」


「ふふ、うそうそ。
みんなのことを思えば痛みなんかないよ。
颯を庇って刺されて、湊庇って殴られて…
だんだん痛みも少なくなってきたし。」


「もう無茶すんなよ。」


「約束はできないよー」