「人っていうのは、みんな一人じゃなんにも出来ないんだよ。
そんなことにすら気づけてないあなたたちに、純は負けない。」


「は?」


「強い気になって、周りの人のサポートに気づくこともできない人に…
一人でなんでも出来ると勘違いしてる人に…
一人ではなにもできないとちゃんとわかってる純は絶対負けない!!」


私はこの男たちに怒鳴り付けて、思いっきり睨んだ。


「俺らはな、お前らみたいなガキとはちげーんだよ。」


「違わない。
あなたは女の私にすら負けてるんだよ。」


「…女のくせに調子のってんじゃねーよ。」


そういって降り下ろされた拳に、私は目をつぶって歯を食いしばった。


「おっと。
俺の女になにすんだよ。」


「………湊…」


湊は私に笑ってから、リーダー格のこの男を殴り飛ばした。


「なぁ、どうして俺がお前より強いかわかるか?」


「………は?」


湊は殴り飛ばした男の前でしゃがみこんだ。


「お前にはわかんねーだろ。」


そういった湊の後ろでは、別の男が湊を殴ろうとしていた。


「教えてやるよ。
俺はな、仲間に守られてるからだよ。」


湊がそう言った瞬間、湊を殴ろうとしていた男を、哉斗が殴り飛ばした。
かわいい笑顔のまま。


「俺も、一人じゃなにもできねーってことだよ。
如月のトップに立ってた俺は、みんなに守られてたから総長として、みんなの上に立ってたんだよ。

守られながら、守りたいものを守るために強くなるんだよ。」


湊はそういって、とどめの一発をいれた。


「俺なんて、女の子の由茉ちゃんのために強くなったようなもんだし?」


哉斗も笑顔のまま、とどめの一発。


「………純だって、一人じゃなんにもできなくて当然なんだからね。」


「由茉…ごめん、俺…」


もうよろよろの純の前には、昨日純が殴ろうとした男が立っていた。


「そんなおこちゃまな絆に、俺は負けないけどね?」


そういって純がまた殴られそうになったから


「…っ、由茉!」


私は走り出して、純を突き飛ばして、この男に殴り飛ばされてた。