「さてと、終わりだ。

晴輝、一輝を頼んだ。」


「はい。」


あれ、晴輝。

いつの間にいたんだ?


………って、それどころじゃない。


「待ってください。」


俺は痛い体を起こし、

大和さんに近づき、頭を下げた。


「由茉を、よろしくお願いします。」


「当たり前だ。

一輝に言われなくてもやる。

俺は由茉様の執事であり、運転手であり、

SPだからな。」


「え、SP……?」


そんなこと、由茉は一言も……


「そんな俺が

一輝ごときに負けるわけにはいかない。

一輝も嫌だろ。

自分より弱いやつが、大切な妹のSPなんて。


………でも、強くなったな。」


「……ありがとうございます。」


「俺はこれからも強くなる。

だから俺に勝負を挑んだりするな。

族の喧嘩とは訳が違うんだ。

由茉様は俺が守る。

守るべき人がいる俺は

誰よりも強いんだよ。」


「………由茉は俺のなんだけど。」


「だったら

由茉様が危険に会うことはないだろう。

あの人は強い人に守られているから。」