そして夜ー
22時を過ぎた頃
大和さんのバイクの音が聞こえてきた。
「悪いな、遅くに。」
「大和さん、まだ乗るんですね。」
「あぁ、まーな。
湊んちの車で来るわけにもいかねーし。
で、どこでやんの?
まさかここじゃねーよな?」
「さすがに通報されますからね。
如月へ行きましょう。
後ろ乗っけてください。」
「はぁ?
一輝バイクねーの?」
「俺は由茉の帰国が決まったとき
バイクはやめました。今は車です。
晴輝はまだ帰ってこないんで、乗せてください。」
「しかたねーな。
何が嬉しくて男を乗せなきゃなんねーんだよ。」
「そういや結婚しました?」
「まだ。
でもまだ真美と付き合ってるよ。」
「真美さんももう随分あってないですね。」
真美さん……大和さん時代の姫。
名前すら久しぶりに聞くな。


